無事illustratorで出来上がったデータも、正しい形式と方法で保存しないと、正しく印刷することができません。本稿ではこれまでのコンテンツで作ってきた名刺のデザインを実際に入稿するためのデータ保存の方法について説明していきます。
なお、一般的にはネット通販での印刷入稿では「画像の埋め込み」「文字のアウトライン化」という工程が必要になる場合がほとんどですが、本項では、PDF形式でのアウトライン化を不要とした入稿方法をご案内します。
目次
1 レイアウトの確認
名刺に限らず、ほとんどの印刷物は大きなサイズで印刷したものを規定のサイズにカットする「断裁」という作業を経て実際に仕上がりサイズに揃えています。
この際に避けられないこととして、±1mm程度のずれが生じる場合があります。
そのため、切れることを想定していない文字や線画などは、仕上がり線より2mm以上内側に配置してください。これより外側に文字や線画を配置されますと、断裁の際に切れてしまう可能性がございます。
※断ち落としのデザインの場合は、仕上がり線より2mm以上外側に出るよう伸ばしてください。こちらも仕上がり線までですと、断裁の際に狂いが生じます。
2 入稿用データとしてのデータの整備
この工程では、出来上がったデザインデータを基に、入稿用のデータとしてエラーが起きないよう余分な情報などを削除して正しいデータを作ることが目的です。
孤立点の削除
初めてillustratorでデザインを行なった際に発生しがちなのが、テキスト入力エリアを作っただけで、実際には入力がないただの点となってしまっている「孤立点」と言われるオブジェクトです。
選択 → オブジェクト → 孤立点 の順にメニューを辿ると、孤立点がある場合は選択されますので、そのままdeleteボタンを押して削除してください。
線の太さの確認
もうひとつ、初心者のうちにやってしまいがちなミスとして、線幅の指定があります。
線として設定したオブジェクトに線ではなく塗りで色指定をしている場合は、illustrator上ではヘアライン(極小の太さの線)として表示されますが、実際には印刷がされない場合があります。細い線(0.2pt/0.1mm以下の罫線)は使用されるとかすれる場合がございます。かすれなどが起きない無理のない太さとして、出来るだけ0.3pt/0.15mm以上の線幅を指定していただくと仕上がりが綺麗です。
総インキ量の確認
Illustratorで印刷物を作成する際は基本的にCMYKモードでデータを作成しますが、CMYKそれぞれの濃さ(%)の合計が300%を超えないように色を設定してください。
まれに、黒がCMYK各100%の「レジストレーション」で設定されている場合があり、その場合は色がにじむ可能性があります。
特に濃い色でデータを作成した場合はご確認をお願いします。
アウトライン化は不要
今回、PDF形式での入稿をしていただく流れをご案内していますが、この場合はこれまで必須とされていた「文字のアウトライン化」が不要となります。
画像の「埋め込み」も不要
画像を配置している場合は、これまではリンクでの設定の場合はリンク画像を収集してまとめていただく必要があったり、埋め込み処理をしていただく必要がありましたが、この作業も必要なくなります。
綺麗に印刷をするためには解像度が300dpi程度は必要となりますが、それはこれまでの入稿方法と変わりありませんのでご注意ください。
3入稿用データを保存する
作業中のファイルからデータを保存します。
ファイル形式:PDF
Adobe PDFプリセット:PDF/X-4:2010
4 おわりに
ここまで出来れば、あとは入稿作業だけで名刺を発注することができてしまいます。
データの整備は少し難しい部分もありますが、思ったよりも簡単だったのではないでしょうか?
続いては、名刺ショップ.comでのデータ入稿の流れについてご説明します。
ぜひご覧ください。