デザイン業務のデファクトスタンダード(業界標準)であるアドビ社が提供するPhotoShopやIllustratorを知っている方も多いのではないでしょうか。
目次
Adobe Creative Cloudがもたらしたこと
導入コストが下がり手が届くツールに
これらのソフトウェアはかつては単体のソフトとして購入する場合でも10万を超え、Creative Suite(以下CS)と呼ばれた複数ソフトのパッケージ版では数十万円というコストがかかるため、本業として利用する会社や個人以外ではなかなか手が出ない代物でした。
しかし、Creative Cloud(以下CC)がリリースされ、クラウド化及びサブスクリプションモデルへと大転換を遂げました。
CCはサブスクリプション(定額課金)形態を取り、illustrator単体では月2,480円(2019年3月現在)、アドビが提供するほぼすべてのソフトウェアを自由に使うことができるコンプリートプランは月5,680円(2019年3月現在)で提供されています。
さらに、付帯サービスとして、モリサワをはじめとした大手フォントメーカーが提供するフォントの利用権がついたり、クラウドサービスならではメリットである、いつでも最新の環境でソフトを使用することが出来るようになりました。
また、CCは同時に2台までのPC(windows/macを問わず)にインストールすることができるのもメリットです(ただし同時起動は不可となっています)
アドビのこうしたビジネス転換により、私たち一般のユーザーにとっては、プロ仕様のツールを以前と比べればはるかに抑えられたコストで利用することができるようになりました。
ペーパーアイテム制作におけるデファクトスタンダード
先にお話ししたとおり、Illustratorは名刺に限らず、チラシやパンフレットなどの印刷物全般や(ページ物と言われる書籍に関しては同じadobeのindesignというソフトが多く使われています)のぼり旗、看板等、デザインという作業が発生するツールの制作におけるデファクトスタンダード(事実上の標準)ソフトです。
最近では弊社も含めてネット印刷が主流となりましたが、それらの印刷業者に印刷を依頼する場合はやはりillustratorのデータであることが望ましいです。wordやpowerpoint等より利用者の多いソフトで作られたデータでも入稿可能な業者さんもいらっしゃいますが、やはりデザインの自由度や再現性の点では難しい部分があるのは事実です。
高い汎用性
Illustratorは名刺に限らず、のぼり旗、チラシ、看板等のペーパーアイテム制作におけるデファクトスタンダード(事実上の標準)ソフトですので、このソフトを使える様になる事により、今まで外注依頼していた物が自分自身で自由にデザイン出来るようになり、仕事の幅も広がる事かと思われます。
印刷業界のスタンダードであるIllustratorを使えるようになる事によって、高い汎用性スキルが身に付き、名刺作成という用途だけでなく、様々なことに広く応用する事が出来る様になります。
また、illustratorをペーパーアイテムのデザインツールとして使えるようになると、ほぼ同じノウハウで今までは外注依頼していたような印刷物等が自分自身で、または社内で自由にデザイン出来るようになります。
基本的には、最終成果物が印刷という形で用意されるようなものは、すべからくillustratorで作れるといっても過言ではありません。(作るものによって独特なルールがあったりもしますので、「絶対」ではありませんが)
もし、社内にそんな人がいたらとっても便利だと思いませんか?
中小企業においてデザインを内製化するメリット
そうです。「急ぎで名刺がほしい」「少部数でいいけどチラシをすぐに作りたい」。そんな経験はありませんか?社内でIllustratorを活用して版下データをを作成できれば、弊社や数多あるネット印刷業者にデータ入稿すれば、最速で翌日にはお手元に印刷物が届きます。また、印刷費やデザイナーに支払うデザイン費が削減される事によって、広告費のトータルコストの削減にもつながります。
他との差別化
社内で企画・デザインを行うことは大きな差別化要因となります。自社のことを一番よく知っているのは社内の人間です。外部の人間がやるよりも確実に自社の強みやメリットを踏まえて印刷物を作ることができるようになります。
デザイン業務の迅速化
また、こうしたストロングポイントの認識のズレが起きにくいことや、意思疎通がスピーディに計れることから、デザイン業務自体の迅速化にもつながります。
「印刷物を作るたびに外部デザイナーとのやりとりが面倒で…」といった声をよく聞きますが、間違いなくその解決につながります。
企画力の向上
そして、長期的に最もメリットがあるのが、こうした今までであれば外注していたため社内にノウハウが蓄積されにくかった「企画」を立てる力を社内に積み上げることができるという点です。これまでこうした業務を社内で行なっていなかった会社でも、最初は時間も手間もかかるかもしれませんが、徐々に溜まっていくノウハウや知見は間違いなく会社の資産になります。
印刷費用の削減
多くのネット印刷会社がCMを日常的に打ち、知名度も利用者も増加していると思います。 しかし、それらの印刷会社のほとんどが「完全データ」と言われる、illustratorで作成したすぐに印刷ができる状態になっているデータを用意する必要があり、大きなハードルとなってい ます。しかし、社内でデザインを行うことができるようになれば当然この問題はクリアできます。デザイン内製化が実現すれば、先にも述べましたがデザイン費用も削減できますので、日常的に印刷物を作成するニーズのある企業では、サブスクリプション化したillustratorのコストは十分に吸収でき、大きな利益をもたらすのではないでしょうか。
デザイン内製化のデメリット
これまでメリット面に目を向けてきましたが、もちろんメリットだけではなくデメリットも存在します。
専任スタッフを雇用するのは負担が大きい
Illustratorが操作できる人を雇用する場合は、理想的にはデザイン業務だけで十分な業務量があるのが理想ですが、とりわけ中小企業でそれまでの業務ボリュームを確保するのはなかなか難しいでしょう。結果として、既存のスタッフに新たにillustratorを覚えてもらう、あるいは経験者にフルタイムではなくパートタイマーとして勤務してもらうなどの選択肢があるかと思います。
スタッフ育成が難しい・ノウハウがない
これまでデザイン業務を本格的に行ったことがない企業にとって、illustratorを使えるようになるまでの育成を行うことは非常に困難です。最近ではillustratorの操作を学ぶことができるスクールもありますが、近場にあればまだしも遠くにしかない場合は価格面を含めて受講はためらわれます。先に述べたように、まずは経験者を雇用するか、最初は簡単な業務から覚えていってもらうぐらいしか解決策がないのが実情です。
印刷物を作る需要がそれほどない
チラシや名刺の発注頻度が年に数回程度の会社では、illustratorの導入コストの方が高くつきます。そうした会社の場合は現時点では、内製化のメリットが低くなります。
名刺はペーパーアイテムの基本(名刺から始めるメリット)
ここまでデザイン内製化についてお話ししてきましたが、印刷物のデザインは非常に多岐に渡りますし、illustratorも元来プロ用のツールとして発展してきたものであるため、決して「わかりやすい」ソフトではありません。
そこでデザイン内製化のはじめの一歩としてオススメするのが「名刺」のデザインです。
内容・レイアウトが比較的決まっているので初めてのDTPに最適
また、名刺は社名・肩書・名前・所在地など配置する項目が比較的決まっており、項目数自体もそれほど多くないことから、レイアウトも定番のものが多数存在し、参考になるものも多いですから、初めてのデザイン内製化の取り組みに最適です。また、名刺デザインではillustratorの操作における基礎的な部分をほぼカバーできるので、培った知識やノウハウを活かせば、チラシなどの大きめの印刷物も作ることができるようになります。
自社管理した方が修正・運用が容易
また、名刺は、日常的に消費するものですから発注ニーズが多く、また社員の数だけパターンが存在することから外注する場合も管理が煩雑になりがちです。自社で管理することにより、社員の追加や肩書きの変更などにも迅速に対応できます。
急ぎの発注にも対応可能
弊社では平日は5時までにご入稿いただければ最速で翌日にはお届けすることもできますので、どうしても急ぎで名刺が必要な場合には必ずやお役に立てると考えています。
当コンテンツが役立つ方
初めてillustratorでデザインをする方への教習コンテンツとして
これまでお話ししてきたような環境面の変化もあり、illustratorを導入している会社は増えてきているようです。しかし、実際に使おうとして教習本を買ってはみたものの、そのほとんどが基礎的なところから始まり、いつまでたっても作りたいものを作れるようにならないとの声を多くお聞きします。
当コンテンツでは、「名刺をデザインする」ことに特化して、そのために必要なことだけを凝縮してお届けしますので、初めてillustratorをお使いになる方でもスムーズに操作を学びながら実際の成果物を作ることができるようになります。
名刺デザインのセオリーを知りたい方
名刺デザインは要素が少なく初心者向きと先にお話ししましたが、それ故に奥が深いのもまた事実です。デザインはシンプルであればあるほど難しいものなのです。
「センス」という後天的には持ち得ないものもあり、「自分はデザインはセンスがないから…」と尻込みされる方が多いのは事実ですが、実はデザインというものは高度に理論化もされており、その初歩的な部分を学ぶだけでもぐっと完成度が上がってきます。
本コンテンツでは、illustratorの操作部分だけではなく、名刺ショップ.comが創業以来20年にわたって皆様の名刺づくりをお手伝いしてきた実績を活かして、名刺のデザインで活用可能なセオリーも出し惜しみせずご提供していきます。
これからは、たとえ中小企業でもマーケティングの視点が必要になってきます。そのためのツールとして印刷物はまだまだ出番がなくなることはありません。
ぜひ、当コンテンツをきっかけに、多くの企業がデザイン内製化に取り組んでいただき、社内にマーケティングチームができあがる、そんな状態になってくれれば、それに勝る喜びはありません。
ぜひお付き合いください。